稲垣浩(いながきひろし) 明治38年〜昭和55年5月21日(1905-1980)
映画監督。東京下町出身。子役を経て、昭和3年(1928)「天下太平記」で監督デビュー。伊丹万作(1900-1946)の脚本で娯楽的時代劇を次々と発表し、阪東妻三郎(1901-1953)主演の「無法松の一生」は、戦中・戦後と二度の検閲で大幅にカットされながらも、日本人の心に訴えた名作で、ヴェネチア国際映画祭グランプリに受賞するなど国際的な賞をとった。また、「手をつなぐ子」、「忘れられた子等」「嵐」などの子どもを主人公とした作品がある。一方、「無法松の一生」、「海を渡る祭礼」、「宮本武蔵」三部作、「柳生武芸帳」前後編、「大阪城物語」、「風林火山」など三船敏郎が主演する時代劇の大作では、黒澤明(1910-1998)とともに「東京時代劇」のスタイルを作った。なお、「宮本武蔵」では米アカデミー賞外国語映画賞を受賞している。世田谷成城に没す。監督、その他の演出作品:「大菩薩峠」、「国定忠治」、「忠臣蔵」など時代劇を中心に多数。74歳。
墓は、谷中霊園甲9号20側。正面「稲垣家之墓」。「映芳院釈浩然居士」。