谷中・桜木・上野公園裏路地ツアー　師岡正胤

師岡正胤（もろおかまさたね）　　　　文政12年11月～明治32年1月23日(1829-1899)

　　　　国学者。名、正胤。通称、豊輔。号、節斎・布志乃屋。父、医者師岡理輔。先祖は土岐氏。京都で大国隆正に学び、江戸で平田銕胤（ひらたかねたね）に師事し、国学を学ぶ。幕末は尊攘運道に活動する。文久3年2月22日(1863)三輪田綱一郎ら同志と皇室の衰退に憤慨し、足利三代木像梟首事件（あしかがさんだいもくぞうきょうしゅじけん）を起す。この事件は、京都等持院にあった室町幕府初代将軍足利尊氏、2代義詮、3代義満の木像の首と位牌が持ち出され、賀茂川の河原に晒された事件である。京都守護職の松平容保は犯人捕縛を命じ、4月には犯人は逮捕され、8月には処罰されたが、師岡正胤は4日後に逮捕され厳刑に処せられるところを公卿や土佐・長州藩主などの計らいで上州上田藩に禁固の身となる。慶應4年(1868)に王政復古の大赦で赦免された。維新後、刑法官から監察司知事・弾正台大巡察、宮内省文学御用掛などを歴任。明治6年(1873)京都松尾神社大宮司となる。明治15年(1882)宮内省文学御用掛。明治24年(1891)伊代神宮本部教授。神宮教協賛広島神宮本部・愛媛皇典講究所教授・理事。国文研究会・松山美娜会を興す。従一位。著書：「みすず日記」、「いささむら竹」、「しのぶぐさ」、「因屋のすさび」。

墓は、多宝院（谷中6-2-35）。本堂脇通路を入り、突き当りを右へ、5基目。墓に名を刻まれている千代子は、正胤の二女で幸徳秋水（こうとくしゅうすい：1871-1911：社会主義者・アナキスト）の妻。