寒松院(かんしょういん)    創建:寛永4年(1627)

場所:台東区上野公園15-11
アクセス:JR鶯谷駅南口から上野公園方面へ約150mの交差点角。

     天台宗。東叡山寛永寺寒松院。津藩藩主籐堂高虎が創建。本尊:阿弥陀如来木像。浄名院の北西にあり谷中墓地と接していた。後に上野桜木9番地(現在津梁院のある場所)に移転。昭和20年(1945)に戦火で焼失し、昭和23年(1948)に現在地に移転。高虎公は現在の上野動物園から上野東照宮にかけた場所に下屋敷があった大名であり、家康公を祀る上野東照宮が建立されたときに、江戸市民が参詣する際の便を図って屋敷地を献上した。同時に寒松院を東照宮の別当寺として建立した。籐堂高虎公は他宗門だったが、徳川家康公が75歳の生涯を終ようとされていたときに、高虎公にこれまでの感謝を述べ「心残りはあなたと私とで宗門が違っているため、来世の浄土が違ってしまいます。それを思うと辛く寂しい」と涙を流された。それを聞いた高虎公も涙を流し「上様と同じ天台宗に改宗いたします」と即座に得度をし、天海大僧正に「寒松院」の法名を戴いたという。高虎は寛永7年(1630)江戸で没し、寒松院に葬られたが、2代藩主高次のとき、津城下の願王寺に改葬し、高虎の諡号(しごう)をとって寒松院と改めた。明治15年(1882)東京・上野の寛永寺の門跡にあった寒松院の庭園に上野博物館(現在の東京国立博物館)が開館し、その付属として現在の上野動物園が開園したが、今でも上野動物園の中に藤堂家の大名墓地(写真下)が残っている。