谷中・桜木・上野公園裏路地ツアー　幸田露伴

幸田露伴（こうだろはん）　　　　慶応3年7月23日～昭和22年7月30日(1867-1947）

　　　　明治～昭和期の小説家・随筆家・考証家。本名、成行(しげゆき)。幼名、鉄四郎。江戸下谷三枚橋出身。父、幕臣幸田成延(三男)。別号、蝸牛庵(かぎゆうあん)、雷音洞主、笹のつゆ、雪音洞主、脱天子など。小学生の頃から草双紙や三国志などを読破。中学校は中退し、湯島の東京図書館通いをし、作家を志した。明治25年(1892)｢五重塔｣で文名を得る。のち、史伝や随筆・考証の領域に執筆活動の重心を移す。尾崎紅葉(1868-1903)､坪内逍遥(1859-1935)､森鴎外と並んで｢紅露逍鴎｣時代と呼ばれた。逓信省電信修技校卒｡電信技師として赴任した北海道余市から明治20年(1887）退職し帰京。明治22年(1889）雑誌「都の花」に小説「露団々（つゆだんだん）」を発表し、その奇抜な趣向で注目を集めた。昭和12年(1937)71歳の時に第１回文化勲章を受章、芸術院会員となる。文学博士。昭和22年(1947)｢評釈芭蕉七部集｣を完成。著書：小説「いさなとり」、「風流仏」、「五重塔」、「連環記」､史伝「運命」、「頼朝」、「蒲生氏郷」、「平将門」､戯曲「名和長年」､長編詩集「出廬」､古典研究「芭蕉七部集評釈」､紀行･随筆「枕頭山水」など多数｡「露伴全集」41巻がある｡兄弟は実業家の幸田成常(長男)、千島探検の郡司成忠(次男)、歴史家の幸田成友(四男：1873-1954)、音楽家の幸田延(妹：1870-1946)、安藤幸(妹：1878-1963)など。随筆家幸田文(1904-1990)は娘。昭和22年(1947)7月30日80歳で没。墓は東京・池上・本門寺。露伴を除き兄弟は全てクリスチャン。
　　　　小説「五重塔」は、谷中五重塔のノンフィクションではない。あくまで創作小説である。25才のときの作品で「のっそり十兵衛という無名の大工が周囲の反対を押して仕事を引き受け、苦心を重ねてついに台風にも微動だにしない五重塔を建立する」というもの。また、露伴の転居は多いが、一時は、朝倉彫塑塾の裏手（天王子墓地側）に居住していた(道路角に説明板が立っている)。