上田敏(うえだとし/びん)    明治7年10月30日〜大正5年7月9日(1874-1916)

    詩人、英文・仏文学者。号、柳村。父、旧幕臣上田綱二(うえだつなじ)。静岡で生まれる。父の赴任先の静岡で幼年期を過ごし、明治20年(1887)一家で東京に戻る。東京英語学校を経て明治22年(1889)第一高等中学校に入学、田口卯吉の家に下宿してワーズワースなどの翻訳を始め、「文学界」の同人にもなる。明治27年(1894-1897)東京帝国大学に入学し、英文学を専攻。卒業後、高等師範学校で教鞭を執り、明治36年(1903)東京帝国大学講師。同大学院で小泉八雲に師事。フランス象徴詩集「海潮音」を翻訳。明治40年(1907)浮世絵商小林文七の通訳としてアメリカ・フランスに赴くが、フランス滞在中に文部省留学生となる。明治41年(1908)帰国して京都帝国大学講師を経て教授となる。明治44年(1911)文芸委員会委員。「山のあなたの空遠く『幸い』住むと人のいう。・・・」の山のあなたの名訳で有名。43歳。著書:「十九世紀文芸史」、「譯詩集海潮音」など。

墓は、谷中霊園甲10号5側。五重塔跡地東側、西向き。正面「文学博士上田敏墓」。