谷中・桜木・上野公園裏路地ツアー　塩谷宕陰

塩谷宕陰（しおのやとういん）　　　　文化6年4月17日～慶応3年8月28日(1809-1867）

　　　　江戸末期の幕府の儒官。天保改革の提言者。槍術の達人。名、世弘。字、毅侯。通称、甲蔵。号、宕陰・悔山･九里香園など。父、塩谷桃蹊(しおのやとうけい：1770-1831)(長男)。弟は、塩谷簣山。祖父、塩谷十束／塩谷桃陵(しおのやじつそく：?-1852)。江戸愛宕下に生まれる。父から読み書きを習い、文政7年(1824)16歳で昌平黌に入る。また、松崎慊堂(まつざきこうどう)に師事。天保2年(1831)父の没後、家計窮迫したが窮状を知った慊堂が、浜松藩主水野忠邦に推挙し召抱えられる。天保の改革では老中となった藩主を助け、また清国のアヘン戦争を知り海防の策を論じた。文久元年(1861)14代将軍徳川家茂に拝謁。文久2年(1862)幕府の儒官となり昌平黌の教授となった。芳野金陵、安井息軒(1799-1876)と並んで安政･文久の三博士と称えられ昌平黌の教授として多くの文人を育てた。娘婿に大野右仲の父大野肯堂がいる。59歳。著書：「鞭駘録」、「阿芙蓉彙聞(あふよういぶん)」、「山形従役詩」、「行書和紀山水図詩」、「高山正之伝」など。

墓は、天王寺墓地。さくら通りの標識から西へ入り、突き当たり右前方の銀杏の下の繁みの中。突き当たりを左に行けば芳野金陵墓。別のルートは、甲9号18側横の通路を行き、大橋訥庵墓域の少し先を左に行き、右側。正面｢宕陰塩谷先生之墓｣。管理事務所前のトイレ横に碑がある。なお、塩谷十束墓および塩谷桃蹊墓も同域にある。都指定旧跡。